AKB48 チームBのファンより

鈴木紫帆里さんを中心にAKB48 チームB について語るサイトです。

我が心の師匠よりの寄稿

2008-08-05 00:20:46 | ときめき研究家
AKB48チームKの2ndアルバム「青春ガールズ」を聴きこんでいる。チームBの1stステージは、DVDで見ることができる。

正統的アイドルポップと言えるバラエティに富んだ名曲ぞろいで、繰り返し聴いても飽きない。

また、それぞれの曲に過去のアイドルポップの名曲への本歌取り、オマージュが散りばめられており、それを読み解いていくのもシニアのファンには楽しみである。

とりわけ2曲目『ビーチサンダル』では、点呼盛りの本歌取りが楽しめた。

まず全体として、オールディズ調の曲調、「タンタンタン、タンタタタン」という印象的なリズムは、少女隊の『Bey-Beyガール』を思い出させる。『Bey-Beyガール』も作詞は秋元康。歌い出しは「窓辺のラジオから流れるオールディズ」。「ビーチサンダル」の歌い出しは「ラジオから流れてるあの夏のfavorite-song」だから、これは意図的な本歌取りに違いない。

去年の夏、バス停で時刻を見ている時に不意にキスされたという状況は、ありがちな状況だが、私は松田聖子『ひまわりの丘』(アルバム「ハイナップル」より、作詞は松本隆)を思い出す。「バスの時刻表を調べてるあなたの背中に抱きついては困らせたわね」。この曲の冒頭にもラジオが登場する。「黒い小さなラジオ耳に当てて歩く」。

その後『ビーチサンダル』の二人は恋人になったが、台風が近づいた夜に彼女が最後の一線を越えられず、そのまま気まずく別れて、今年の夏に後悔している。「(バス停でキスせずに)友達のままでバスに乗ってたら今年も一緒にあの海に行けた」のにという設定だが、これと対照的な設定なのが酒井法子『友情キッス』(アルバム「ホワイトガール」より、作詞は原真弓)。「もし私あの夜にソファでイアリングはずしたら 大切なこの友情なかったのね」と歌い、他の友達と一緒にシャトルバスに乗り込んでパーティに出かけていくという歌。そんなに簡単に体を求める男はロクなものじゃないが、全てを許さなかったから友情は残ったという設定。なお、台風が近づいた夜という設定からは、工藤夕貴や大西結花が出演していた映画『台風クラブ』(相米慎二監督)を思い出す。台風は多感な若者の情緒を不安定にするのか。

エンディング近くで、しまっていた去年のビーチサンダルから砂がこぼれるシーンは、松田聖子『マイアミ午前5時』(アルバム「ユートピア」より、作詞は松本隆)の「靴の底には砂が詰まって痛いから 逆さに振れば二人だけの夏がこぼれるわ」を鮮明に想起させられる。サンダルには砂は溜まらない無理を承知でこのフレーズを持ってきたのは、やはりあまりに有名なこのシーンを踏まえてのことと思う。

本歌取り、オマージュと言っても、作り手が意図しているもの、していないものの両方があるだろう。しかしそれは聴き手にとってはどちらでもいいことである。聴き手自身が、過去の作品との繋がりを感じ取ることができたら、それは実際に繋がっているのである。

日本の四季という枠組みの中で心象の機微を歌う和歌の世界が、膨大な過去の作品の集積の中で作り手と鑑賞者に共通の基盤を成立させているのと同様、若い女性の日常と心象の機微を歌うアイドルポップにも同様の基盤が成立している。その基盤の上で、過去の作品への理解が深いほど、現在の作品の創作と鑑賞を豊かたらしめている構図も同様だ。基盤の継続年数と基盤への参加者の数は、若干異なってはいるが。

秋元氏をはじめとするAKB48の作り手には(もちろん歌い手たちも含んでいるが)、そうしたアイドルポップの基盤をより強固にし、参加者を広げようという意欲を感じる。

因みに1曲目『青春ガールズ』の「おじさんだってちょっと青春 おばさんだって今青春・・・」の列挙のくだりは、『LOVEマシーン』(作詞はつんく♂)の「あんたも私wo wo wo wo、みんなも社長さんもwo wo
wo wo」を連想する。「wo wo wo wo」は、チームAサードアルバムの『夏が行っちゃった』にも登場している。
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